【音楽家×短編小説】No.10「森のパン屋さん」〜キートンのシナリオコレクション〜

皆さん、こんばんは!


シナリオコレクションのお時間です!


2018年が始まりましたね。


遅ればせながら、皆さんあけましておめでとうございます!


去年もたくさんの方々にお世話になり、充実した1年を過ごすことができました。

今年も何卒よろしくお願いします!


それでは新年1発目の脚本に参りましょう。


                 【森のパン屋さん】


ささやかな静寂が横たわる広大な森の中。


辺り一面木々が生い茂り、豊かな恵みに囲まれた場所にそのお店はあります。


お店の名前は「森のパン屋さん」。


決して大きくはないですが、メルヘンな雰囲気のお洒落なお店です。


こんなへんぴな所に果たしてお客さんがやって来るのでしょうか。


いえいえ、ご心配なく。


森のパン屋さんはいつも大盛況。


遠い民家からやってくる人間達から、森に住むクマやリスなどの動物達まで

実に様々なお客さんがこのお店にやってきます。


出来たてのパンの匂いに誘われて来たのでしょうか。


お店から出てきたお客さんは、皆何とも幸せそうな顔で帰って行きます。


見た目は素朴でごく普通のパン屋さん。


一体このお店の人気の秘密は、何なのでしょうか。


実はこのパン屋さんのパンには値段が付いていません。


それでは皆は一体どうやってパンを買っているのでしょう。


森のパン屋さんを営んでいるのは、1人のおじいさん。


心優しいおじいさんは、お店が出来て間もない頃から、

森の動物達や貧しい民家の人たちに出来立てのパンを配り歩いていました。


するとどうでしょう。


後になって、人々や動物達は自分達なりに食材を持ち寄ったり、

手作りの物を持ってきたり、おじいさんのお店のお手伝いをしたりと

おじいさんに恩返しをし始めたのです。


おじいさんは更に感謝の気持ちを込めて、皆にパンを渡すようになりました。


おじいさんはパンよりも価値のあるものを皆に提供して、

パンの売上より価値のあるものを皆から受け取っていたのですね。


こうして森のパン屋さんは連日大行列ができるようになり、

皆に愛される存在となったのです。


なんと美しい愛の交わりでしょうか。


おじいさんはお金が無くてもとても幸せでした。


こんなに素敵な森の仲間たちに囲まれているのですから。


お金に囲まれ、それに慣れてしまった現代の私達は心というものを忘れてしまっています。


社会には、相手を騙したり、汚い下心を持つ人で溢れています。


全ては、お金のため、ビジネスのため、自分の利益のため。


それはあまりにも寂しいことです。


森のパン屋さんは、現代に生きる私たちに大切なことを教えてくれます。


ここにあるのは、純粋に相手の為に、という愛の心だけです。


おじいさんが皆に配っていたのは、パンの形をした無償の愛だったのかもしれません。


童話のような雰囲気の脚本ですね。


この脚本は、チャーリーとハロルドが家族で北海道に行ったときに、

実際に出会った素敵なパン屋さんをもとに書いた脚本です。


僕が行ったわけではないので、

どうしてもリアリティには欠けるかもしれませんがそこは想像で補いました(笑)


彼らが言うには、このお店に限らず出会った北海道の人たち皆がとても暖かくて

愛で溢れていたそうです。


下心もなく、喜んで相手のために何かをする。


それは簡単なようで中々難しいことですね。


誰かに何かをしてあげるときに、

どうしても損得感情やよく思われたいといった雑念が入り込んでしまうもの。


でも、それは本当の意味の"優しさ"ではないような気がします。


僕は短い間でしたが、サラリーマンの経験があります。


その時に、いかにお金や利益のことばかり考えている人が

たくさんいるかということを知ってショックを受けました。


これが社会か、と。


だから、北海道の土産話をメンバーから聞いたときはとても感動し、心が温まりました。


そして、その勢いのままこの脚本を書いてしまいました。(笑)


音楽を作るときも、


「売れて、お金持ちになりたい」


とか


「有名になってチヤホヤされたい」


という気持ちで作った音楽と、


純粋に誰かを励ましたいとか、楽しませたい


という気持ちで作った音楽では全く質が変わってくると思います。


後者を目指してはいますが、

雑念から完全にフリーかと聞かれたら正直すぐにうなずけるかどうか。。(笑)


まだまだ修行が足りないですね。


その精神を学ぶためにも、北海道にはぜひ一度行ってみたいなあ。。!


それでは、また次回!


キートンでした。

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