皆さん、こんばんは!
"Keaton's library"
のお時間です。
ご無沙汰してしまいましたが、早速参りましょう!
今回ご紹介するのは、
「アルジャーノンに花束を」
です!
本書は、僕が今まで読んだ海外文学の中で、最も好きな本の一つです。
2年ほど前に、日本でもテレビドラマ化されて話題になりましたね。
魅力に迫ってまいりましょう!
【こんな方におすすめ!】
・考えさせられる作品が好き
・もっと頭が良くなりたいと思うことがある
・切ない物語が好き
・古典的名作に触れたい
・幸せについて考えることがある
【あらすじ】
知的障害を持つ青年チャーリイは、大きな体に子供の心を持った優しい性格の青年だ。
彼は人を疑うことを知らず、いつも周囲に笑顔を振りまいていた。
ところが、彼にはあるコンプレックスがあった。
そう、自分の知能だ。
彼は常日頃からもっと賢くなりたいと強く願っていた。
そんなある日のこと。
チャーリイは、障害者クラスの担任アリスから最新の脳手術を受けることをすすめられる。
これで賢くなれる。。!
喜んだチャーリイは、手術を受け、IQ185の知能を持つ天才へと変貌していくのだが。。
【読みどころ】
①変化していく文体
本書は主人公による日記という一風変わった形式でストーリーが進んでいきます。
気合を入れて、「さあ読むぞ!」と意気込んで本書を読み始めた途端、
一ページ目で恐らく多くの方が面食らうと思います。
ぶ、文章がとてつもなく読みづらい。。!(笑)
それもそのはず。
文章を書いているのは、IQわずか68のチャーリイ。
漢字やカタカナもほとんどまともに使えず、誤字・脱字のオンパレード。
正直、読み進めるのが大変です(笑)
しかし、この日記形式が活きてくるのはここから。
チャーリイは、手術を受け天才へと変わっていくのですが、
いきなり天才になるわけではありません。
あくまで少しづつです。
となると、当然チャーリイが書く文章にも変化が表れていきます。
そう、文章がすこーしずつ賢くなっていくのです!(笑)
これ、口で言うのは簡単ですが、
文章で表現するのはかなりの文章技術が必要だと思います。
著者ダニエル・キイスのアイデア、
そして、巧みなその文章力に僕は当初度肝を抜かされました。
文章のレベルが上がっていくだけでなく、一人称や口調までもが変化していきます。
それに連れて文章も読みやすくなってくるので、
最初で挫折しそうになっても根気よく読み進めてみて下さい!
逆にレベルが上がりすぎて、途中からまた読みにくくなるかもしれませんが(笑)
以前の文章と今の文章を読み比べながら、
どこが変化したのかを確認していくのも面白いと思います!
②変化していく主人公の感情
さて、文章や一人称、口調が変化していきますが、
その他にも大きく変化していくものがあります。
主人公の"感情"です。
ここでも、日記という形式が大きな効力を発揮しています。
日記ほど、書き手の感情があらわになる形式はないでしょう。
文章の節々から、主人公の感情が時に痛いほどひしひしと伝わってきます。
頭が良くなっていくということは、それまで見えていなかったこと、
気づいていなかったことが分かるようになるということ。
しかも、いくら頭が良くなっていっても、感情は幼いまま。
その急激な変化に主人公は戸惑い、
今まで抱いたことのないような様々な感情に襲われ、苦しみます。
「天才は孤独だ」
「頭が良い人ほど余計なことを考えすぎてしまうから、ネガティブになりやすい」
こんなことが書かれたコラムを以前読んだことがあります。
僕は、本書を読んで"幸せとは一体何か"ということについて深く考えさせられました。
一般的に考えられている幸せなんてあてにならないんじゃないかと。
良い大学に行ければ幸せ
天才だったら幸せ
お金持ちだったら幸せ
有名になれたら幸せ
モテモテになら幸せ
実際に上記に当てはまる人が皆幸せかと言ったら、決してそうではない。
むしろ、そういう人ほど人一倍苦しんでいることだってある。
きっと、主人公のチャーリイだって
そんな一般的な幸せに憧れた一人だったんじゃないかと思います。
頭がよくなればもっと幸せになれる、と。
でも、彼は頭が良くなくても、元々人間的に良いものを持っていたし、
周りには幸せがたくさん転がっていたと思うんです。
「あーあ、何てもったいないことを。。」
読者の僕はそう感じますが、これって案外他人事じゃない気もします。
目の前の幸せに気づかずに、高望みして、
一般的な幸せ像に縛られてしまう。
そういうことって結構ある気がします。
幸せの形なんて本当は、人それぞれなんじゃないかなあ。
ダニエル・キイスがここまでのメッセージを込めているかは分かりませんが、
僕は色々と考えさせられました。
でも、一日だけでいいなら、天才の景色を見てみたい気もするなあ。。
なれるならアインシュタインがいいかな!(←発想が馬鹿)
不朽の名作をあなたに。
また次回!
キートンでした。
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