【音楽家×短編小説】No.7「マンホール帝国」〜キートンのシナリオコレクション〜

皆さん、こんばんは!


「キートンのシナリオコレクション」


のお時間です。


さて、今週も、我々NSTINDANCETONの脚本をご紹介していきますよー!


今回の脚本のタイトルは


「マンホール帝国」


です!


さーて、また奇妙なタイトルが出てきましたね(笑)


何となく内容を想像してからご覧ください。


それではどうぞ!

     【マンホール帝国】


この世の中には、普段は我々が目にすることのない世界がある。


そして、その世界では今も我々の世界と同じ感覚で時間が流れ、

日常の歯車がまわっている。


未知のものに遭遇したとき、我々は想像でそれを補おうとする。


しかし、得体が知れない分、想像は大きく膨れ上がり、

実際以上に世にも恐ろしいものを構築してしまいがちである。


都市伝説やUMAがいい例だ。


身近にありながら、謎めいた空間、マンホールの下も決して例外ではない。



甲高いファンファーレと共に、統制のとれた小隊が列をなし、行進していく。


先頭の兵は、国旗を誇らしげにはためかせている。

そんな小隊が100、いや1000はあろうか。


彼等が目指す先は一緒である。


そう、"マンホール帝国"だ。


マンホール界において唯一の国であり、絶対的権力の象徴である。


閉鎖的な空間に出来上がったマンホール帝国は、敵からの侵入に怯える必要もない反面、

他国との交流は一切なく、彼等独自の文化を築き上げてきた。


その結果、“キングオブ独裁政権”とでもいえる、大変偏った思考の国家となっていった。


国が右と言えば右、左と言えば左を向かなくてはならない。


従わなければ即刻処刑。それがこの国の鉄の掟だ。


たとえりんごが目の前にあっても、

国がそれをバナナと呼ぶのであればそれはバナナなのだ。


国が1+1は3だと言えば、それが正解となるのである。


個人の常識など関係はない。

国そのものが常識であり、ルールなのだ。


国民の言動、一挙手一投足はすべて隠しモニターによって管理されており、

少しでも国への反逆と見なされる言動をした場合、即刻連行、処刑される。


何と酷い国だ、と我々は憤るかもしれない。


しかし、国はもちろん、国民でさえ誰1人として国のルールに疑問を抱くものはいない。


それどころか、自分たちは最高に幸せで、

誰よりも強い国に住んでいると心から信じているのだ。


それはそうだろう、マンホールという絶対的私的空間にいるのだから。

自分たちが絶対なのだ。


我々から"マンホール帝国"が見えないように、

"マンホール帝国"からも我々の世界は見えない。


このようにそれぞれの世界の住人は、今見えている世界がこの世の全てだと思い込む。

実際には、驚くほどすぐ近くに別の世界が広がっているかもしれないにも関わらず。


地上から見れば、ただの暗くじめじめした、底の見えないミステリアスな穴。

しかし、そこには、我々の知られざる、未知なる世界が広がっている。

改めてあたりをよく見渡してみてほしい。


もしかしたら、我々が普段目をつけない空間には、

到底想像もできないような独自の世界が構築され、

何か不可思議なことが行われているのかもしれないのだから。★


断っておきますが、この脚本に政治的意見や、

特定の国に対する批判的な意図は全くありません。


ただ、マンホールの中に国があったらという妄想の結果、

自然とこういう内容になりました(笑)


それにしても、脚本をご紹介していると、

自分の頭の中を覗かれているようで少し恥ずかしいですね。。


でも、いつもこんなことばかり考えているわけではないですよ?(笑)


脚本を書くと、想像力が鍛えられます。

"シネマポップス"において想像力は不可欠。


映画や本でインプットして、脚本作りや曲作りでアウトプットをする。


この良いサイクルを続けることで、もっと良い作品を作っていけたらいいなあ。


それでは、また次回!

キートンでした。

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