皆さん、こんばんは!
「キートンのシナリオコレクション」のお時間です。
さて、今週も、我々NSTINDANCETONの脚本の中から皆さんにご紹介していきますよー!
今回の脚本のタイトルは
「だけ族」
です。
うん、妙なタイトルですねー(笑)
この時点で内容を想像できた方は。。まあいないでしょう(笑)
さて、これまではLIVEで披露してきた曲の脚本をご紹介してきましたが、
今回からはランダムにいきたいと思います!
短い絵本を読んでいるような感覚で楽しんでいただければと思います。
それではどうぞ!
【だけ族】
遠い遠い過去、まだ人間が生まれるずっと前のお話。
現在存在している民族は主に以下の通りである。
鼻だけ族、目だけ族、口だけ族、耳だけ族。
この主要4民族だけで、世界の約9割を占めているという。
残りの一割は少数民族で、あごだけ族、膝だけ族などがいるが
挙げればきりがないので省略する。
しかし、これだけ多くの民族がいると、争いが起きるのは必然である。
少数民族たちにはそもそも権利が与えられておらず、虐げられるのみである。
そして、主要四民族の中でも、ヒエラルキーは厳然と存在している。
最も権力を握っているのは、言葉を巧みに操れる「口だけ族」だ。
嘘をつき、言葉で他の民族をコントロールし、暴言を吐く。
性格は、短気でずる賢く、自己中心的。
得意技は、嘘をついて相手を惑わす「二枚舌」と、
相手を罵り精神的に追い詰めて弱らせる、「罵詈雑言」だ。
他の民族に抗うすべはなく、
民族が分かれてから今まで常に全民族の最高権力として君臨してきた。
次に権力を握っているのは、「目だけ族」である。
周りの状況を冷静に見渡し、分析することが得意だ。
冷静沈着で、意志が強い。
得意技は、敵の能力や特性を瞬時に分析する「観察」と、
ピンチの時になるととてつもない眼力を発揮し威嚇する「にらみつけ」。
実力は充分だが、いつも口だけ族の巧みな話術に翻弄され、2番手に甘んじてきた。
目は口ほどにものを言うというが、口だけ族に太刀打ちできる日は来るのだろうか。
次にくるのは、「鼻だけ族」だ。
匂いを嗅ぎ分けるのが得意で、敵の居場所をすぐに突き止めることができる。
敵味方の判断も匂いでおこなっている。
仲間意識が強いが、それゆえに他民族を鼻で笑い、見下す傾向がある。
一族が集まって一斉に相手めがけ噴射する「鼻息」は強力だが、
個々の力はそれほどなく、あくまで集団で力を発揮する民族だ。
そして、主要四民族の最下層にくるのが、「耳だけ族」だ。
非力で、攻撃手段ももたないため、他民族の侵略に対抗できない。
技という技も持たない。
ただし、四民族中最も知能は高い。
温厚で相手の話を聞くのが得意。平和主義で争いを好まない。
ある日、目だけ族は考えていた。
どうすれば、口だけ族の支配を終わらせることができるのかと。
口だけ族の力は圧倒的で、目だけ族が束になってかかっても、
またたく間に蹴散らされてしまうだろう。
そこで、思いついたのは苦肉の策だった。
それは、「口だけ族以外の民族で協力して、口だけ族を打倒する」ということだった。
考えてみれば単純なことだが、実行するのは決して容易なことではない。
その当時、ヒエラルキーは絶対的なものであり、
民族同士の関係は決して良好とは言えなかったからだ。
だが、もうこれしかこの支配を終わらせる方法はない。
そう考えた目だけ族は、鼻だけ族、耳だけ族に事情を話し、
協力してくれるように要請した。
すると意外にも、他民族たちはこの要請に好意的だった。
彼らも長年の口だけ族の支配には、苦しめられていたからだろう。
平和的で賢い耳だけ族は言った。
「皆で平和な世界を作ろう。争いのない世界を。
口だけ族だって私達がこらしめれば、心を改めてきっと一緒に仲良く暮らせるはずだ。
これからは、全部族統一の時代がやってくる。」
鼻だけ族はそれを聞いて、あざ笑って言った。
「何を言ってるんだ?あんなに残虐なやつらが変わるわけ無いだろ。
クズはいつまでたってもクズなのさ。
お前たちも所詮最下層の分際で一体何ができる?
せいぜい俺達の足を引っ張らないことだ。
今回俺達が強力するのもあくまで自分の仲間のため。一時的なものなんだからな。」
こうして、手を組むことになった3民族は、
最も知能の高い耳だけ族のアイデアで作戦を練ることにした。
その作戦とはそれぞれの民族の強みを活かし合体する、という
当時からすれば驚きのものだった。
知能の低い他の民族は、その緻密かつ斬新な作戦内容に舌を巻いた。
まず、目だけ族は視野が広く、冷静に周りを見ることに長けているので、
全体の司令塔となり、全員に支持を与える役目だ。
地位的にも3民族の中で一番上に位置しているので、指令も出しやすいだろうという考えだ。
全体の中核をなす。
続いて、鼻だけ族は集団でいるときに最も力を発揮するので、
一族全員で先頭に立ち、「鼻息」を使った戦闘要員としての役割を与えられた。
またその嗅覚を活かして、敵の居場所への案内役も任された。
位置的には目だけ族を下で支える形だ。
最後に耳だけ族は、音を聞き取るのが得意なので、左右に配置し、
口だけ族が何を話しているのかを聞き分ける役割だ。
知能が高いので、口だけ族が話している内容から、その場で戦略を練る。
影のリーダーだ。
こうして、文字通り一つとなった3民族は、口だけ族に勝負を仕掛けた。
目だけ族が見て、鼻だけ族が嗅ぎ、耳だけ族が聞く。
目だけ族が分析し、鼻だけ族が攻撃し、耳だけ族が考える。
口というひとつの武器しか持たない口だけ族に、勝ち目はなかった。
お得意の「二枚舌」も耳だけ族の知能の前ではすべて見破られてしまい、
「罵詈雑言」も耳だけ族が皆を鼓舞することで対応した。
勝利をおさめ、口だけ族を一網打尽にした3民族は、これからのことについて話し合った。
鼻だけ族は言った。
「耳だけ族よ。先程はたいへん無礼な発言をしたことを詫びよう。
今回の戦いの一番の功労者は間違いなく、君たちだ。
これからどうするかは君たちが決めてくれ。」
この意見には、目だけ族も異論はないようだった。
耳だけ族は言った。
「我々が望むのは、平和だ。
もうこんなヒエラルキーのある世界など終わらせてしまおう。
そして、この戦いの中でわかったことがある。我々民族はひとつになるべきだ。
そうすれば争うこともなくなるし、
今まで以上に素晴らしい力を発揮することができるだろう。」
この日から、民族たちは少数民族も含めて一つになった。
口だけ族も反省し、悪い言葉を口にすることはほとんどなくなった。口は災いのもとだ。
こうして、だけ族たちの時代は終わりを告げた。
それ以降も様々な生物たちが繁栄しては滅びていった。
後に「人間」と呼ばれる新たな一つの生命が誕生し、繁栄するようになるが、
それはまだもう少し先の話である。★
いかがでしたか?
これはかなり変り種のテーマですね(笑)
僕が脚本を書くときに意識しているのは、
「なるべく詳しく細かいところまで描写すること。」
一見、そんな情報必要ないだろう、と思うようなことまで書いてありますが、
これには理由があります。
僕達が皆さんにお届けするのは、
「シネマポップス」という、聴けば映像が浮かぶような音楽です。
ですがそのためには、作り手の僕達自身が
曲作りの段階で鮮明に映像を思い浮かべられていないと話になりません。
なので、その根幹となるテーマはなるべく細かく描写して、
より鮮明な映像がイメージできるようにしているのです。
鮮明にイメージできればできるほど、曲のクオリティも上がっていきます。
これからもっと色んな世界観の脚本を書いていきたいと思います!
それでは、また次回!
キートンでした。
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