皆さん、こんばんは!
「キートンのシナリオコレクション」のお時間です!
先週に引き続き、我々NSTINDANCETONの脚本の中から皆さんにご紹介したいと思います。
早速参りましょう。
今回の脚本のタイトルは、
「二人ぼっちの劇場」
です。
実はこの脚本、先日のワンマンライブでも披露した
「ロマンスに唄えば」
のもとになった脚本なんです!
もちろん歌詞にしていく中でテーマの中身は多少変わりましたが、
全体の雰囲気や世界観はほとんど変わっていません。
まあ、たまに大幅な変更があって、
「あれ、自分の書いた脚本はいずこへ。。?」なんてこともありますが(笑)
基本的には、根幹はそのままの状態で曲になっていきます。
それでは、ご覧ください!
【二人ぼっちの劇場】
割れんばかりの鳴り止まない拍手。
会場全体を包み込む観衆たちの大きな歓声。
数万人はいるだろうか。
見渡せば巨大な会場のボルテージは最高潮に達し、心地よい一体感を演出している。
私もそれに応え、更にテンションを上げて歓声の渦の中に飛び込んでいく。。
。。。そんな空想を何度重ねてきただろうか。だが、実際はどうだろう。
古びた劇場のちっぽけなステージの上で私は楽器を弾いている。
活気などまるでなく、人の出入りもたまにパラパラとある程度だ。
私は幼い頃からずっと偉大なミュージシャンに憧れ、大きなステージを夢見てきた。
自分なりに努力だってしてきたつもりだ。
「諦めなければ夢は叶う」
ドラマや漫画の世界で刷り込まれてきたキラキラしたメッセージ。
私はそれを純粋に信じてきた。いや、今だってそうだ。諦めてなんかいない。
客席には1人の若い女性だけがいて、こちらをじっと見つめている。
もう演奏も終盤だが、最初から時が止まったかのように状況は変わらない。
観客の数も、女性の表情も。
相変わらず聞こえてくるのは、物寂しい楽器の音色と、
理想と現実の隔たりから漏れ出した不協和音だけだ。
目の前の女性は変わらずこちらをじっと見つめている。
仮にこの世界に100人の人々がいたとする。
その内の20人は私の音楽に強烈な嫌悪感を抱くかもしれない。
残りの79人は、興味すらなく、こちらに目もくれないかもしれない。
だが、たった1人、わずか1人でも私の音楽に興味を抱き、
好意的な印象を持ってくれた人がいたとする。
今、目の前にいる女性がもしかしたらその1人かもしれない。
いや、ただ単に他にすることがないから退屈しのぎに見ているだけかもしれないし、
下手くそな演奏だなと心の中で毒づきながら見ているのかもしれない。
だが、1つ確かなことは、どんな理由であれ、
今こうしてその女性が私の音楽を聴いてくれているということだ。
観客がいないことにふてくされて、ステージを去ることは簡単だ。
もう音楽を金輪際やめてしまうことだって。
ネガティブな要素なんて目を凝らさなくてもいくらでも見つかる。
だが、それは今私がするべきことではない。
今私ができることは決まっている。
目の前の1人の女性のために演奏をすること。
ステージに立つこと。
笑顔にすること。
感動させること。
楽しませること。
全身全霊をかけること。
そう、私の音楽を聴いてくれている人が1人でもいる限り。★
いかがでしたか?
お気づきの方もいると思いますが、この脚本は当時の我々の心境を色濃く反映しています(笑)
先日のようなワンマンライブなど、到底考えられなかった時代に書きました。
それこそ、お客さんがほぼゼロに近いような状態も当たり前だった頃です。
でも、今後どんなにお客さんが来てくれるようになっても、
この気持ちはずっと忘れないでいたいなあと思います。
僕らに初心を思い出させてくれる脚本であり曲ですね。
この脚本と「ロマンスに唄えば」の歌詞をぜひ見比べてみてくださいね!
それではまた次回!
キートンでした。
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